縦のレイアウトデザイン、日本とタイの比較
私の母はタイで日本企業で働いているので、私が子供の時から日本語を見る機会が多かったのですが、意味が全然わかりませんでした。母はたまに日本に出張していて、私も母の出張についてきて初めて日本に来たのは13歳の時でした。
初めて日本に到着して、日本の文字を見ると中国語と似ていると思いました。また当時、看板やボックスや雑誌などのレイアウトに違和感を感じて、私は目の流れで日本語の文章をどうやって読むかと考えましたが、今では日本のレイアウトは本当に素敵できちんとデザインされていると思います。また、大学3年生の時日本のデザインに興味を持ち、(特に日本の縦のレイアウトについて)日本の大学院で勉強したいという希望を持っていました。それがきっかけで日本の修士課程に入りました。確かに、タイ語と比較したら、日本語は文字からレイアウトに至るまでさまざまなことが異なります。そこで、この記事ではタイ語と日本語の相違点についてお話します!
Table of Contents
タイの文字
まず、タイ文字について簡単に説明します。タイは、ミャンマーとスリランカと共に、上座部仏教を支える一大拠点であり、タイ文字も経典言語であるパーリ語・サンスクリット語に対応できる形で発展しました。タイ文字はクメール文字をもとに作られ、子音字の周辺に母音を表す記号もしくは字母を加えて音を表現します。
現行のタイ文字は44種類(内2文字廃字)の子音字、タイ語は母音が24個もあり、4種類の声調、10数字を表す符号を組み合わせて使用される点が特徴として挙げられます。
日本の文字
一方、日本文字は中国文字をもとに作られました。日本語の文章には 3 種類の文字が混在しています。
つまり、中国の漢字に由来する表意文字である漢字と、ひらがなとカタカナという2つの表音文字で成り立っています。ひらがなとカタカナはそれぞれ対になっていますが、ひらがなのほうがより一般的で、丸みのある形をしています。一方、漢字は語幹となる語を書くのに使用され、現代では、カタカナは外来語を書き記すのに使用されます。
タイの言葉の構成
文字が異なるのと同様に、言葉の構成も違います。タイ文字は子音字と母音符号、声調符号の種類の数の合計は約80種類あるため、各文字、符号の形のみであれば日本語よりはるかに少ないです。また、子音文字と母音符号を組み合わせて、表単音文字を表します。子音文字の上下左右に書かれます。さらに、大文字・小文字の区別はなく、分かち書き(語と語の間や,文節と文節との間を1字分空けて書くこと)はせず、句読点を用いないのも、タイ文字の特徴の一つでもあります。
日本の言葉の構成
日本語の方は、母音は「あ、い、う、え、お、」のたった5個しかなく、声調符号もありません。また、日本の文字は、正方形の中で表記できるようデザインされています。さらに一文字で意味を持つ文字もあります(例:か(蚊)、て(手)、め(目)など)。例えば、タイ語には一文字で意味を持つ文字が無く、子音字と母音と声調記号を言葉に組み合わせないと意味が成立しません。日本の言葉を書くときには、そのまま横書きと縦書きのいずれも使用可能です。
タイのレイアウト
上記で説明した通り、タイと日本ではレイアウトにも違いがあります。言葉を組み合わせる時、タイの文字は、子音字を中心に母音記号と小さい声調符号を上下左右につけて書かれます。よって、読者にとっては縦組みが読み辛くなるので、タイではほぼ出版物が横組みです。例えば日本の新聞のレイアウトは横書きと縦書きがありますが、タイの新聞では横書きしかありません。タイの文字は、視認性に重点を置いてデザインされていますが、新聞は文字数が多いため、横書きでも読者にとって読み辛く感じてしまうのです。
日本のレイアウト
先述したように日本語は、縦のレイアウトでも横のレイアウトでも読めるのが特徴です。また、日本語の文章の平均的な文字別構成は、ひらがな 55%、漢字 35%、カタカナ 10%*1となっており、日本語の文章にはアラビア数字やローマ字も使用されています。文章に漢字を全く使用しないこともできますが、ほとんどの日本人にとって、そのような文章は理解が困難です。
前述の通り、タイは非漢字圏の国であるため、日本語の文字と比較すると、形は全く違い、書き順も違います。さらに、言葉の構成とレイアウトに至るまで、様々な要素が異なります。タイ語と日本語は全く異なりますが、デザインの目線でタイ語と日本語の異なることを組み合わせて作品を作成するのは面白いじゃないですかと考えます!
*1 参照元