予測不能なエンディング:THE SECOND 2026年感想
日本のお笑いが大好きなインドネシア人デキです。今年で4回目になるM-1出場権が無い漫才コンビ(結成から15年以上)の戦い、衝撃的なエンディングでした。
出囃子を聞きながらぜひお読みいただければ。インドネシア人として歌詞の「エゴ!エゴはしばいたれ!ジャカルタまでとばしたれ!」は嬉しい。
10-FEET – 2%
Table of Contents
準々決勝
第1試合
金属バット 結成2007年 吉本興業 293点
VS
ヤング 結成2003年 フールズ 279点
今大会のシード1位、番組のエース、金属バット、初回から4回もファイナルステージに進出できて、本人もMC東野さんも「もはやレギュラーやな」と言われるぐらい、キャラクターに反して安定感があります。
対する、吉本に入らず自分でお笑い喫茶を運営して、インディーズでありながら、金属バットも含めて同世代芸人と一緒に舞台に立ったヤング。今大会のダークホース。
先行の金属バットは今大会一発目の漫才。これからの空気感を作る責任もあり、「牛の部位ってむずくない?」「お前鳥に詳しいやんけ」「お前車にも詳しいやん」一般人審査に向いている、わかりやすいネタで高得点間違いなし。
一方、ヤングは日本語「る」の法則、いわゆる50音のネタ。確かに6分なら全部入れそうな気がします。ただし、番組の紹介は「アウトロー対アウトロー」で激推ししていたため、まさかのオーソドックスなネタに大吉先生も驚いたようです。「明日笑点に出ても違和感ない」というコメントは褒め言葉なのかどうなのかですね。
この番組のおかげでヤングのネタを見ることができましたが、勝者は金属バット。
第2試合
タモンズ 結成2006年 吉本興業 289点
VS
黒帯 結成2010年 吉本興業 283点
タモンズのネタは「お礼言わない後輩は嫌だ」から相方への不満に展開し、本来タモンズ初見の人にはわかりにくいネタですが、2人のキャラの違いのおかげで大体想像できるように構成されました。カナメストーンと高音対戦もできそうですね。
黒帯はどっかで見たことあるな、と思ったら、昨年のM-1敗者復活戦でした。とんち的なクイズに正解できなければ、ボケが炎上ギリギリの発言をするという、本ネタと時事ネタを交える2本構成はM-1のときと似てますね。
今大会の初めての毒舌キャラ、残念ながら6点差で負けて、タモンズの勝ち。
第3試合
シャンプーハット 結成1994年 吉本興業 279点
VS
リニア 結成2008年 プロダクション人力舎 293点
今大会一番のベテラン、シャンプーハット。関西でレギュラー番組9本も持ち、バラエティの常連。売れっ子あるあるかもしれませんが、漫才以外での活躍が多い分、実際に漫才を見たことがなく、映像も相当昔の漫才でしたね。「大根」のテンドンと「英語」ネタで、プラス客のあつかい・いじりがうまい。さすがベテランですね。
一方、人力車若手のリニアは知名度が無く、解散をした経験もあったよう。対極な2組というテーマに沿ったもの、リニアのネタは今風で「検索が下手」。キーワードをたくさん並べるネタでうまくできた構成ですね。ツッコミはウエストランド井口に声も喋り方も似てますが、ドンデコルテ的な自虐「エゴサしすぎ売れない芸人」を交えて、ボケも質問攻めでネタの段取りを進行する役割になり、リニアのオリジナリティがあります。
どちらも見たことのない漫才で、14点差でリニアが勝ちました。
第4試合
ザ・パンチ 結成1998年 吉本興業 275点
VS
トット 結成2009年 吉本興業 293点
2年前の決勝経験者、シュールな言い方とペースでおなじみの、ザ・パンチ。客いじりでスタートし、本ネタを無視するぐらいかなり舞台慣れしてますね。後に華丸さん曰く、先にザ・パンチが出たら場が荒れてきて、自分の空気に戻すまで大変なぐらい、自分たちのワールドに連れて行くマジシャンですね。
対する、11年も後輩のトット。桑原さんは売れっ子の先輩たちのYoutubeに出演したり、ワイン資格で番組に出たことで「トット」というコンビ名は聞いたことありますが、漫才は見たことないですね。「さやか」のような喧嘩漫才、現金派と電子マネー派のディベート。
シュールなザ・パンチワールドが破れて、トットの勝利。
準決勝
第1試合
タモンズ 264点 VS 金属バット 296点
金属バットの前のラウンドの点数が高かったから順番を決める権利を持ち、後攻を選んだ。タモンズは1回目と似たような感じ、「最近ビール好きになった」「甘い酒しか飲まないお前が?」「ビールは毎日ではなく、月1回でベスト!」安定感がある漫才。
一方金属バットは「祝日ランキング」。いかついギリギリのネタで攻めた。爆発的なセリフが多く「こんなん駅前で言うやつやろ」「シルバーウィークって高齢者をバリいじるよな」。1回目のヤングの弱点「予測できる50音」を逆手にとって、皆知ってるはずの祝日でも金属バットなら何を言うか、見る人の期待を高めて、今大会の最高得点を得て、圧勝でした。
余談ですが、MC東野の「M-1のMCやりたいねん!」にツボった。あらびき団の特番の時も「相方が完璧にM-1を進行したのに、わしなんでここにおんねん!」。ザ・セカンドは構成上、点数をつけるのは一般客のため、スコア確定されたあと見届け人とともに2組が自由に喋る機会があり、緊張感がすごいM-1に比べると平場も楽しめる大会ですね。タレントを探してるテレビ関係者にとってはスカウトしやすいかもしれません。
第2試合
リニア 289点 VS トット 292点
トットが後攻を選び、まずはリニアから。リニアは「ビジュ」の連発で今風をキープ、「ビジュアル担当」「ビジュ担」酒井のウィンクも最後のピースサインも客にはまり、後に有田さんが褒めたようにボケの間づくりが絶妙で、ネタを次々と新展開に行かせる役割。
トットは1回目の続編で「紙タバコ派・多田」と「禁煙成功した人・桑原」。最初自分のほうが人間として・・・と言い張った桑原が、徐々に喫煙したいのがばれてしまい、桑原の人間味が出て客の反応が良かったネタでした。今大会で1番予測が難しかった戦いで、僅差(3点)でトットが勝利。後日、日曜日の事務所の先輩アンタッチャブル柴田さんのラジオに出演し、リニアの酒井さんがこう語った。「トット戦は本来、結果発表はCMまたがないけど、いい試合だったから、あえてそうされたらしい。」
リニアはこの2本目のネタをYoutubeにあげたらしいのでよかったらどうぞ:
ビジュアル担当【THE SECOND 2026 決勝ネタ】
決勝
トット 281点 VS 金属バット 264点
いよいよ問題の決勝戦。金属バットは後攻を選んだ。先行は客が温まった後に出番だからか、もしかして後攻のほうが有利かもしれませんね。
トットは喧嘩漫才のもう1個のパターンを出しました。「40歳独身」「家族・子どもの妄想」桑原が娘や奥さん役をやってオーソドックスなスタイルも披露。安定感ありますが2本目のネタよりインパクトが弱いわけだからか、点数も初めて290台を切った。
そしていよいよエースの金属バット。客も見届け人も全員特大な期待で「何を披露するんやろ」と思うはず。ボケの小林がフリを開始して、まあまあ長かった、4分ぐらいですかね。笑い無し、話の設定のみ。ツッコミの友保は相づちを入れながら聞く感じ。文字起こしが可能かどうか不安ですが、やってみます。(ネタバレ注意)
「50歳夫婦の畜産農家がいます。かなり大きくて成功してる農家。ただ悩みが1つある。結婚して20年、子どもができてない。それで農家にとってご法度なことをした。動物たちに子どものように名前を付けるらしい。こうすることによって愛着が生まれる。子どもがいないからか名前を付けたくなるらしい。
そして、外国人留学生のホームステイ先としてオファーが来た。イギリス人女性19歳。言語の壁もあり、最初は不安だが、実際にホームステイが始まったら楽しく過ごして、自分の娘のように可愛がった。もうそろそろホームステイ期間が終わる。夫婦が最後におもてなしをしたく、ステーキを振舞った。しかし彼女はそのステーキを食えないと謝った。なぜなら、彼女はビーガン。
彼女も夫婦のおもてなしを断ることが悔しくて泣きながら謝った。仕方ないが、せめて彼女が食べれるものを食べさせたく、奥さんが裏にあるキッチンに行った。”これなら食べれる”と思って手にパンを持ってダイニングに戻る。しかし、そのパンも彼女は食べれないでした。」
小林「この食べれないパンってな~んだ?」
友保「(一瞬客のほうを見て、皆薄々悟った)え、フライパン?」
小林「正解!」
友保「全然おもんないやんけ!!全然おもんないやんけ!!全然おもんないやんけ!!」
これでおしまい。友保の怒りの声は見る人を代表するような。ネタ終わったあと、ステージに上がるMC東野さんも思わず「これ生放送ですよね?!」みんなざわついてすごい空気でした。まさか決勝の最後にこんなネタをだしていいのか、絶対ネットの賛否両論が激しくなる展開。私も見た直後の気持ちが整えられず、この記事は一晩寝てからにしようと決めた。
言うまでもないですが、トットが第4回チャンピオンになりました。おめでとうございます。
決着後の賛否両論
トットにとっては「?」がある勝利かもしれませんが、後の記者会見では本人たちは納得のような発言がありました。
記者「金属バットの決勝ネタはかなりイレギュラーでしたが、どう思いますか?」
桑原「確かにそうですが、金属バットらしいです。私たちも281点取って正直勝つかどうかわかりませんでした。あのようなネタは全員1点なのか全員3点なのか、どっちに行っても納得のネタです。」
2組とも年齢も近く同じ事務所なのでお互いのことがわかるのかもしれません。大吉先生もコメントで「4分もネタフリを使うのはこれで最初で最後かもしれない」。しかし番組一番最後にはっきり「お前らやりやがったな!」。視聴者も同じく心境がまだクリアになってないようでした。
個人的にもリアルタイムで見ているとき、金属バットを応援していた身として悔しかった気持ちはありました。顎が床につくぐらい落ちて「あとすこしなのに、なんでこのネタ?!」と思いました。さやかとエバースのM-1決勝ネタを思い出すような、選定ミスなのか、あえてこうしたのか、本人に聞いてみたい気持ちありますが、はっきりした答えは出ないかもしれませんね。
まあ、これも含めて金属バットや。呼吸のように常にぼけて、まじめなこと一切せえへん。「番組最後の漫才、これでええのか?」と聞かれてもたぶん「これでええねん。」1本目と2本目を真面目にネタを披露した結果の皆さんの期待を裏切って、ある意味最強の裏切り、お笑いは結局裏切りやねん。これぞ金属バットの生き様や。
ちなみに、案の定Youtube生配信記者会見のコメント欄は荒れてました。「トットおめでとう!」の間に「金属バット優勝できるはず」「譲ったでしょう?」「大阪交通ネタよりええやん」という金属バットのファンからのコメントも大量に流されました。
番組のこれから
2本目のリニア対トット戦以外、点差が大きく、結果を見る前にある程度予測できるからか、ドキドキ感が少ない大会でした。結果発表より、2組とMCと見届け人の平場の絡みが面白く、それを期待してた気持ちはありました。今年4年目で番組としてまだ形が固まってないようですが、M-1と差をつけるのは肝と感じました。同じことをやっても、向こうは20年以上の経験がありますから絶対勝てないですよね。
一つの案は、例えばオール・ザッツ・漫才的な「カオス」を軸にするのはいかがですかね。実際平場の絡みが面白くて、ちゃんとの大会でありながら破天荒なことをもっとやればいいと思います。お笑い芸人はボケてふざけてなんぼですからね。この場合、金属バットのあのネタは大正解、最後のオチになり皆一緒にこけるような展開。素人の意見ですみませんが。
ナイツ塙さんも大会前のYoutubeコメントでこう言いました:
「M-1というのは例えるとオリンピックのフィギュアスケート、若い選手たちが4分間という短い間に競い合う、いわゆる競技漫才。で、オリンピックを引退したら、自分がやりたいスケート・プログラムを自由にできる、エキシビションもできる。これがザ・セカンドだと思います。
漫才協会のメンバー(平均ネタ10分)やしゃべくり漫才は4分は短すぎて、お客さんに自分たちを紹介しきれないままネタを終らせない行けない。4分漫才はやはり私たちの「ヤホー漫才」、ミルクボーイ、たくろうみたいに、システムがあり、自己紹介無しでも面白い部分をちゃんと伝えられます。それを6分にして対戦型にしたのは面白い番組だと思います。」
では皆さん、これからも日本のお笑いを応援しましょう。
