カップル文化のリアルをイギリス人が深掘り:日本人と結婚した私の体験談
皆様、こんにちは。在日イギリス人の山田です。苗字がヒントになると思いますが、私は日本人と結婚しています。
今回の記事では、「カップル文化」について少しご紹介してから、実際に国際結婚をしている私の経験談を話しますので、ご興味ありましたらぜひお楽しみください!
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「カップル文化」とは何?
「カップル文化」とは、交際している二人がよく一緒に行動して、一緒にいることを優先する現象のことを指します。カップル文化は欧米では高く、東アジアの諸国では低いと言われています。一般的には、互いの友達と友達になったり、さまざまなイベントに一緒に参加したりしてすることは「カップル文化」の行動だと言われています。
また、「二人で一人」と解釈されている方もいますが、これは具体的にどういう意味なのかははっきりとわかりませんよね。私の考えでは、本来この表現の意味は「二人の個人が一つのペアになる」の意味です。
具体的に言いますと、“you complete me”(あなたは私を完成させる)や“my better half”(私の良い方の半分)の表現は、二人の個人が一つの存在になるわけではなく、二人が互いを支えながら、人生を一緒に歩んでゆくという意味だと思います。こちらは英語のニュアンスと文化背景が重要ですので、説明するのが難しいですね。
イギリスでの「カップル文化」を掘り下げてみる
社会人類学などを勉強したことがないので完全に間違っているかもしれませんが、考えてみれば欧米の社会文化の基盤となった書物には、カップル文化が重視されていると言えます。
例えば、キリスト教とユダヤ教の聖書、ローマ・ギリシア神話、童話やフェアリーテイルなど。男女が一対となる話や愛についての物語などが割と多いです。さらに、カップルが愛のために、または愛し合っているからこそ悪に勝ち、困難を乗り越えていける物語は、児童文学に浸透しています。
子どもの文学だけではありません。ヨーロッパの文学では、愛をメインテーマとする著者はたくさんいます。例えば、シェイクスピア、トルストイ、ユーゴー、ナボコフ、ブロンテ、オースティン、コリンズ、ディケンズ、ハーディ・・・数え上げればきりがないです。
もちろん、愛以外のテーマもあり、愛についての話はすべて「カップル文化」に関係しているわけでもありませんが、やはりヨーロッパの文学の世界では「愛」が重視されているように感じます。
少し視点を変えてみますが、映画も、特にハリウッド映画、欧米での恋愛観に大きな影響を与えているでしょう。特に若い世代は、自分の運命の人や”one true love”を見つけて、愛で満たされることだけが真の幸福をもたらすというアイディアに視覚的に水浸しにされて育ってきたとも言えます。
イギリスでのカップル文化
私の場合は、よく家族で集まったり、同じ通り沿いに住んでいる家族たちと集まったり、家族で海外旅行へ行ったら他のイギリス人同士の家族と仲良くなったりしましたので、カップル(夫婦)プラス子どもたちで行動することが普通でした。
両親が隣人の話をする場合は、例えば「Jane」ではなく、「Peter and Jane」、必ずペアで呼びます。「Mr and Mrs ○○」がセットになっていますので、ごく自然と人をペアで考えるようになるのかもしれません。
一般的に、イギリス人は異性の友達と一緒に集まったり、旅行に行ったり、食事をしたりします。学校では、男女別々というような感じではなく、男子と女子が仲良くて、一緒に座って、一緒にご飯を食べて、一緒に課外活動を楽しんでいました。私は13歳から仲のいい男性の友達が二人いて、未だに定期的に電話をして、切る時に「Lots of love」や「Love you」とあいさつを交わしています。会うときはハグします。
しかし、この男性たちとは夫も仲がいいので、深い友情であることは明々白々です。(彼も会うときにハグされます。笑)同様に、彼らの彼女たちとも話したことが何回もあって、電話するときに必ず彼女のことについて聞いて、直接話せない場合は「よろしくと伝えてね」とあいさつして、気を使います。私たちがイギリスに住んでいたら、カップル同士で仲良くなっていると思います。
しかし、例えば、毎日異性の人とメッセージしたり、誤解されやすいようなことをしたりすることは基本的に怪しく思われます。また、2人だけでご飯を食べに行ったり、お酒を飲みに行ったりすることも基本的にしませんし、男女混合グループで飲みやご飯に行くなら、婚約者や結婚相手、または彼女や彼氏を誘うことが一般的です。逆に、そうしないほうが変に思われる恐れがあります。それは、用心深いからというよりかは、紹介されることや互いの大事な人たち(またはよくかかわる人たち)と仲良くなることが普通だから、そう期待します。
一人で行動する?しない?
それはするでしょう。パートナーがいても、一人での時間を大切したい人はたくさんいます。また、一人で時間を過ごすことは良好な恋愛関係に必須だと、最近欧米では重視されるようになっています。それができないカップルは共依存になってしまい、不健全な関係になってしまうリスクがあります。
カフェやレストラン、美術館や公園などに一人で行くかパートナーと一緒に行くかは、どちらかというとカップル文化ではなく個人差によります。カフェが好きなら、一人で行って読書などする人がいれば、カフェはあまり好きじゃないけど「デート」として二人で行って外で会話を楽しむ人もいます。
都会と田舎(少し小さめの都市)の違いも関係しているかもしれません。
イギリスでは、多くの「都市」は割と小さくて、平日は17~18時にお店が閉店して、夜には電車やバスはあまり運営していないことが多いです。なので、レストランや映画館へ行くのに車が必要になりますし、お金の面でも外で遊ぶのは高いです。そのため、一人で行動している人が少ないというより、外にいる人が比較的少ないのだと思います。例えば、私の故郷はウスター市ですが、カフェ、洋服店、本屋はすべて17:30頃に閉店して、平日の最後のバスは18:10発でした。そのため、大きな都市でなければ(ロンドン、ノッティンガム、バーミンガムなど)、多くの人は夕方までに家に帰って家族と過すか、ローカルパブなどにいます。
すると、自然と「カップルで行動すること」というか「家族で行動すること」が増えるのだと思います。やはり「家」が中心となりますので、「カップル文化」(夫婦)が強調されるともいえるかもしれないです。
こちらも、ホームパーティーが日本と比較してみると多い理由でもあるかもしれません。
ホームパーティーはどうかな?
田舎(小さな都市を含めて)に住んでいれば、家は割と広いので、友だちを家に呼んで、駐車料や外食にかかる費用を心配せずに一緒に食事をしてゆったりとした時間を楽しむほうが楽ではないでしょうか。このように、親しい関係が強調され、カップル同士で集まることが多くなります。
勝手に連れていくことはもちろんダメですが、招待されるときは大体「あなたと○○は土曜ご飯を食べに来ない?ピーターとジェインも来るよ」みたいな感じです。上にも記載しましたが、ペアで呼ばれることが多いですから、カップル同士で集まるときにペアで招待されます。
もし、「あなたと○○」ではなく、自分だけが招待されたら、場合にもよりますが「○○も連れてきてもいい?」とは聞かないと思います。他のカップルが参加していれば別ですが・・・まあ、こちらは空気を読むことが大切ですね。(個人的には、「空気を読むこと」は日本よりイギリスのほうが重視されていると思います。)
結婚式の場合は?
結婚式やフォーマルなイベントには、多くの場合はプラス1(プラスワンと発音します)の社交辞令があります。プラス1は、自分だけが招待されたが、パートナーを連れていける許可です。プラス1許可をもらえる・もらえない状況をいくつか見ていきましょう。
もらえる例
状況①:学生時代の友人の結婚式に私が招待されたが、他の同期は呼ばれていない
問題点
- 私の知っている人がほぼいないから、私が寂しいのではないか友人に心配される
- プラス1として連れていきたい人がいるかどうかは友人にはわからない
- いるとしても、その人の住所、フルネームなどがわからないから招待状を送れない
- その人と親しいわけではないから招待状を送ることに対して違和感を感じる
- この場合は、私への気遣いとして、プラス1をあげます。
状況②:私に婚約者がいて、仲のいい友達の結婚式に招待された
この場合は、婚約者、同棲しているカップル、長く付き合っているカップルなどにプラス1をあげることが礼儀です。
もらえない例
状況①:自分の結婚式に兄の新しい彼女(3ヶ月しか付き合っていない人)のためにプラス1
この場合は、すぐ別れてしまうかもしれないし、結婚式に招待すると余計なプレッシャーを感じさせてしまうこともあります。このような関係の浅いパートナーは結婚式などには基本的に呼びません。
状況②:学生時代の友人の結婚式に私が招待されたが、私の知っている人が多い
この場合ですと、多くの知り合いがいるため、私の彼氏(婚約者や同棲パートナーではない)を招待する必要はありません。
国際結婚夫婦のリアル「カップル文化」の経験
似ている例
私と夫には仲が良い友だちのグループがあり、カップル文化が自然と成り立っています。そのグループの始まりは、夫が大学のバスケ部で知り合った友達(男性6人)でした。彼らはとても仲が良くて、長く付き合いそうな彼女ができたらみんなに紹介することになりました。時間の経過とともに、ガールフレンドも集まりに呼ぶことが普通になって、いまはグループで頻繁に集まったり旅行に行ったりします。
いまはカップル同士の家にお邪魔して一緒に料理したり、みんなでスポーツなどをしたり、ダブルデートをしたりして、いろいろなアクティビティを楽しむことができています。なので、私は日本でカップル文化をたくさん経験しています。
異なる例
付き合い始めたころに、私は合コンのカルチャーを知らず、理解できなくて、夫が彼女を探している友達と合コンに参加するときに、なぜ私を呼ばないのとずっと疑問に思って、しつこく問い詰めました。
しかし、私の言っていたことは論理的で妥当性があったので、夫に理解してもらえました。文化を理由にしたわけではなく、単に「私は不愉快なので、私に対して少し気を使ってほしい」と説明したからこそ、理解してもらえたと思います。
もちろん、パートナーをコントロールすることはダメで、非常に気持ち悪い行為です。しかし、自分一人で嫌な思いを繰り返し続けるとストレスが溜まってしまって、ケンカします。なので、一人で抱え込まずに自分の気持ちと観点を冷静かつ丁寧に相手に伝えて、妥協し合うことが大切ですね。
その後、グループで集まったときに、これが話題になりました。私が日本の文化を理解していない、日本人と付き合っているからこれを受入れなきゃダメだ、と言われました。みんなで議論しましたが、最終的に彼らにもわかってもらえました。たぶん、その議論のおかげで、互いのことをもっと理解ができて、友情が深まったのでしょう。
今考えてみれば、その時点で私が「カップル文化」をその友達に認識させたと言えますね。「私はこの人のパートナーだから、あなたは彼の友達として私に不愉快な思いをさせてはならない」と、男性たちに理解してもらいました。恋愛関係は二人の間の絆で、ほとんどの問題は二人で解決すべきですが、他人が仕方なくかかわってきますので、恋愛が成功するには他人の理解と協力も必要だと思います。
会社の飲み会に連れていくなど
日本人が欧米人と付き合うと、同僚との飲み会に連れていかないといけない、というような話はネットで読んだことがあります。
これについては、おそらく個人差のほうが重要ではないかなと思います。お酒が好きな人で、社交的な人で、近い分野で働いているなら、同僚に紹介してもおかしくはないと思います。必要ではないけど、自分も同僚と仲が良くて、パートナーと同僚は気が合いそうなら楽しい会になるかもですね。
最後に、「文化」対「個人差」についての一言
個人差なのか文化の違いなのか、わからないけど、正直に国際結婚をしてわかったことは「文化の違い」は自分の行動や考え方の言い訳にもなりません。「私の文化だから」と言っても、相手には相手の文化がありますので、納得しませんし、問題の解決にも至りません。
たとえ相手の考え方が文化に基づいているものだとしても、個人的な思考だけだとしても、最終的には自分が相手の考え方をそのまま受け入れるか入れないかの選択です。
相手を傷つけているときは妥協が必要ですが、そうでないときは相手をそのまま受け入れて、自由にさせることが一番楽ではありませんか?少なくとも、大体のことに関して私も夫もそう思っています。