タイ人としてタトゥーカルチャーについて感じたこと
海外では良く見かける「タトゥーカルチャー」についてお話しします。タトゥーは日本語では、「刺青」と言います。タトゥーとは皮膚に針を刺してそこに染料を入れて、模様を描くという技術的なアートです。
私は外国におけるタトゥーに関する現状を調べてみました。Piccinini (2016)の調査によると、EU では人口の約 12%、米国では 21%~24%、カナダでは24%がタトゥーをしているということです。年代別にみると、10 代~20 代の割合が高く、20%前後の値を 示しています。*1
さらに米国では、これまで様々な視点からタトゥーに関する調査があります。 Harris Interactiveという民間の調査機関は、2003 年、2008 年、2012 年、2015 年に調査を実施し、タトゥー人口の増減を地域別、年代別に分析しています。*2
タイでもファション的なタトゥーをしている人たちは特に10 代~20 代の割合が高い傾向のようです!
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日本在住の私からみるタトゥーカルチャー
私が小学生(2010年くらい)の時、タイで「Japan fever」という日本に関することが流行っていた時がありました。タイのどこに行っても日本のドラマ、漫画、アニメーション、音楽などによく触れることができました。その時、日本のドラマや漫画やアニメーションの中で、日本のタトゥーをよくみました。
しかし、日本に来てから、日常生活でタトゥーをしている人を全然みたことがありません。一緒に日本に来たタイ人の友達は左の腕にタトゥーをしています。日本に来るときには秋だったので、よくセーターを着ましたが、夏になると、T シャツを着るので、タトゥーの部分がはみ出ます。日本語学校の先生たちは私の友達のタトゥーを見て、ちょっと驚きました。日本では、危険な筋の人だと思われるそうですね。また温泉に行く時にもタトゥーをしているから断られます。タイでは、刺青やタトゥーに対しての抵抗感は日本に比べると低いです。日本のように、タトゥーをしているから温泉で断られるとか、危険な筋の人と思われるということはありません。
一方、日本の若者が友達のタトゥーを見た時、驚嘆して「僕もタトゥーをやりたいなあ」と言いました。しかし、日本の視点から見ると、タトゥーが嫌われる理由としては、歴史的な視点から、江戸時代に犯罪を犯した証明としてタトゥーを入れてたことに由来するのかもしれません。個人的な感想としては日本のタトゥーはすごく個性的な模様だと思います。タトゥーの模様、色、線などをパット見るだけで、このタトゥーが日本のタトゥーだということがわかります。
人によってタトゥーの視点が違うのは当たり前だと思います。私の視点からみると、タトゥーはアートと言えます。体に特別な技術で模様を描きます。自分らしいスタイルなどがそのデザインに反映されると思います。
日本とタイのタトゥーを比較すると、デザインから文化に至るまで違いがあります。では、これからタイのタトゥーについて紹介します!
タイのタトゥー(刺青)
タイにはタイ独特のタトゥーがあります。大きく2つの種類に分けられます。
①信仰に関するタトゥー
②ファション的なタトゥー
まず、①信仰に関するタトゥー(刺青)について説明します。
タイの独特なタトゥーは「サック・ヤン」と呼ばれる。宗教的な意味ももつタトゥー(刺青)や信仰心のことであり、タイ人はお守りとして身体に彫ります。日本語で「護符刺青」とよびます。特徴は模様の中に古代のクメール文字があることです。さらに、すべての模様は黒い墨を使用します。
一番有名な模様は「ヤン・ハーテェウ(Yant Hah Taew)」です。古代のクメール語で5行の呪文・祈りや願いを込めたものです。願いが叶うように祈る意味のタトゥーです。「Angelina Jolie」という世界で有名な女優もタイで「ヤン・ハーテェウ」のタトゥーをしました。私の父もしています。
次に、②ファション的なタトゥーについて説明します。ファッションのタトゥーはおしゃれな若者文化ということで、年配の人たちにはあまり受けは良くないそうです。しかし、最近若者の間ではMinimalスタイルのタトゥーが結構流行っています。人によってタトゥーの模様の意味が違います。私の従姉妹は自分の背中に苗字のタトゥーをしました。なぜなら、自分は誰かを忘れないようにするためです。私もタトゥーをしたいと思っていて、「胡蝶」の模様のタトゥーをしたいです。私の個人的な考えでは、「胡蝶」は端麗で自由という意味の感じがします。また、私の母も「胡蝶」のような女性なので、尊敬します。だから「胡蝶」の模様のタトゥーをしたいと思います。
上記で言った通りに、人によってタトゥーへの考え方が違います。この機会にタトゥー(刺青)に関するインタビューしました!
様々な国の人にインタビュー
日本の方
日本社会のタトゥーへの視線はとても厳しく私は疑問に思います。もちろん、歴史のなかで刺青がヤクザなどと関連されてきたのは事実です。しかしタトゥーを入れている人たちが全員そういったことと関係があるわけではないことは、誰もがわかっていると思います。どんな人間かは関係なく「タトゥーを入れている」という事実だけで偏見を持たれてしまうのが今の日本社会です。
タトゥーはメイクやファッションのようなものだと思うのでこういったステレオタイプの考えではなくポジティブに捉えられる社会になってほしいです。
タイの方(女性・57歳)
タイではよく信仰に関することが結構ある国です。タトゥー(刺青)を考えると、一番思い出したことは心霊術なので、ちょっと怖い気がします。しかし、最近Minimalタトゥーがすごく人気になっているので、少しタトゥーをすると芸術のように見えますが、多めのタトゥーをしたら、ちょっと汚く見えます。一度、タトゥーをするとずっと体に残り、消しにくいです。
タトゥーしているタイの方(男性・28歳)
タトゥーを入れている人も同じ人間ではないでしょうか。タトゥーを入れている人の差別に反対です。人によってタトゥーの視点が違うのは当たり前だと思いますが、差別なんて納得できません。
タトゥーを入れている人とタトゥーを入れていない人はどちらがいい人か悪い人か判断できません。個人的な感想として、タトゥーは人々によって目的が違います。私の場合は自分らしくスタイルや美術的なことなどを伝えます。
米国の方
タトゥーは芸術的な表現だと思います。たとえタトゥーに特別な意味がなく、ただカッコイイから入れたとしても、それは自分自身や自分の好きなものを表現していることに変わりはないです。
また、その一方で、人によってタトゥーには重要な意味があり、人生における重要な出来事や人、場所などを象徴することがあります。つまり、自分の物語を語っているような感じで、それは素敵だと思います。
最後にタトゥーは、自分の文化を表現する重要な手段にもなります。アイヌなど、世界中の多くの文化がタトゥーを利用しているし、それらの伝統を尊重し、敬意を払うことが重要ですので、その時点でもタトゥーはすごいと思います。
若年層(18歳)
私にとってタトゥーは体にある美術と言えます。体にずっとあるアクセサリーのようなものです。模様は人により、意味や特徴など違います。さらに人によって、タトゥーの模様は過去にいくつかのことを経験したことを表します。
私のようなデザイナーからすると、タトゥーは美術と言えます。タトゥーには、自分らしいスタイルなどが反映されると思います。皆さんはどう考えますか。
*1, *2 参照元