外国語を早く話せるようになるには?「没入法」で日本語を学んだ英語ネイティブの体験談
皆様、こんにちは。在日中のイギリス人の山田です。今回の記事は、欧米人が没入法(immersion method)で日本語を学んだ経験についてです。
言語の勉強方法はたくさんあります。できるだけ多くの単語を暗記したり、教科書を買って自習したり、映画やアニメで学んだり、授業で教師に教わったり、様々な方法があります。しかし、母語とかなり異なる言語を早く話せるようになりたい場合は、どうすればいいでしょうか?
私の個人的な経験からのおすすめは、没入法です。
「没入法」(immersion method)は、目標の言語環境に浸りきった状態で言語能力を身につけることを言います。大体こちらの方法は、第2言語を直接勉強することではなく、他のアクティビティを通して第2言語を獲得することを意味します。なので、母語は基本的に没入法で学ばれます。
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そもそも、人間はどうやって言語を学ぶのか?
人間は生まれてから言語を学び始めます。基本的に、語学には4つのスキルがあり、その4つのスキルは2つのカテゴリーに分けられます。
- インプット技能(受容スキル)
- 聞く(リスニング)
- 読む(リーディング)
- アウトプット技能(生産スキル)
- 話す(スピーキング)
- 書く(ライティング)
そして、基本的にこの順番で母語を学びます。
- 聞く
- 話す
- 読む
- 書く
赤ちゃんは親の声をずっと聴いて、親と「対話」していますので、それを真似し始めます。最初は意味のない音を出しているだけかもしれませんが、一番大切なのは、親が音に反応して、返事していることです。そして、その「対話」から言葉の音を真似して、単語のみの会話をします。
大きくなっていくと、単語能力が増えて、自然と文法(単語と単語をつないで意味のあるフレーズを作る技術)を身につけます。それから、3~5歳は絵本で読む練習をし始めて、4~5歳から自分の名前や短い単語を書く練習をし始めます。非常に簡潔な説明ですが、基本的にこのように人間は第1言語を学びます。
「聞く・話す」スキルから始まるべき理由は、言葉の意味の理解の早さにあります。言葉を動作やコンテキストと一緒に学ぶと、その言葉の意味と正しい使い方がすぐにわかります。早く情報を受け取ると、早くその情報を処理できて、早く反応できます。
「読む」は自分のペースで文字を読解して、その読解した文字から言葉を認識して、文章全体の意味を処理してから反応していますので、時間を要し、比較的高い能力が求められます。そして「対話」がないため、結局話せるようにはなりません。
これは、多くの日本人が英語をずっと勉強しているのに英語が全然話せない大きな理由でしょう。
私の日本語の勉強方法
私は没入法で日本語を学びました。
日本に引っ越す前は日本語が全然わからなくて、飛行機内でひらがなといくつかの必要なフレーズを覚えました。(イギリスから日本への旅は約12時間かかりますので、勉強する時間は充分あります。)
最初はワーキングホリデービザで来ましたので、英会話スクールで働きました。英語教師として英語しか使わなかったのですが、電車、コンビニ、英会話スクールでの受付などで日本語を耳や目にしました。カタカナは何となく覚えて、そして簡単な漢字と生活上よく見る漢字も自然と読めるようになりました。(当然、書けませんでした。)休憩時間に日本人の同僚や生徒さんたちの日本語での会話を聴いたりしました。7ヶ月ほどで、私は会話できるようになっていました。
同年の9月に日本の大学に入ることになって、日本語のレベルチェックテスト(聴力と読解力だけ)を受けることになりました。私は教科書などで日本語を勉強したことがなかったので、本当に0点をとると想定しました。レベルが8つで、7~8がネイティブでした。驚いたことに、私はレベル3が取れました。7ヶ月で、没入法だけで日本語能力試験の3級くらいになっていました。
「日本語は難しい」とよく言われますが、実際は他の言語と同じです。専門分野などの話を理解する程度なら、どの言語でもかなり高い言語能力が必要になりますが、日常生活のなかの言語能力なら、逆に日本語のほうが英語より簡単だと言う人もいるでしょう。個人的には、英語の方が難しいと思います。
日本の大学の日本語教育の経験
正直に言うと、私は大学の日本語教育がすごく嫌でした。授業の時間が長くて、生徒たちが教師たちに子ども扱いされて、つまらないテーマや意味のない多量の宿題ばかり出されて、本当に役立たずで時間の無駄だと感じました。
2年生になって、レベルチェックテストを再度受けました。6級が取れましたので、日本語必須単位が24から12に減らされましたが、既に12単位取得できたためそれ以降日本語の授業を受けませんでした。
唯一役に立った授業は1年生のときの漢字の授業でした。私は漢字を勉強したことがなくて、どうやって勉強するのかがわかりませんでした。授業では、先生が書き順、部首、音読みと訓読みなどをわかりやすく教えてくれましたので、おもしろくて役に立つ授業でした。ただ、やはり週1回しか授業がなかったため、量が多すぎて、テストのためだけに暗記してテストが終わったら忘れるパターンでした。短期暗記が得意な私には余裕でしたが、さすがに勉強にはなりませんでした。
おそらく、日本人の小・中学生に漢字を教える方法に近くて、教え方もちゃんとできていたと思います。他の日本語授業は、多分日本人が英語を学ぼうとしている方法と同じだと思います。語彙と文法をたくさん学ばされて、その単語や文法の正しい使い方などがあまりわかっていないのに文章を書かされて、そして間違っていると先生に毎回言われます。それはそうでしょう、だってこの単語と文法の使い方は教わっていない、と私はずっと考えていました。
豆知識:第2言語で新しい単語を勉強する最も有効的な方法は、1週間に最大15個の単語にすることです。1週間にその10~15個の単語の意味、例文、発音などを徹底的に毎日勉強して、復習して、そして2週間目に新しい10~15個の単語を勉強し始めます。
しかし、ここがポイントです:新しい単語を学びながら、必ず先週の10~15個の単語を復習することです。最初は1日おき、それからは3日おき、そして1週間おき。こうして語彙力を増やせます!
第2言語をうまく話せるようになるには?
第2言語を習得したければ、毎日使わなければなりません。
私の場合は、自分一人で不自由なく日本で暮らせるように日本語能力が必要な状況を作りました。寮ではなく一人暮らしをして、大学で日本人学生向けの授業を受けて、論文のために日本語の文献を使いました。また、日→英の翻訳者のインターンシップをして、フリーランスの翻訳の仕事もしました。
そして、夫と出会ってからはほぼ毎週金曜日から月曜日まで彼の実家に泊まって、夏休み、冬休みなどはいつも夫の実家で過ごしました。夫は英語が話せますが、両親は英語があまりできないため、日本語でコミュニケーションを取ることが普通になって、私の日本語が自然にうまくなっていきました。
私の場合、スピーキング、リスニングとリーディングが上手ですが、ライティングはまだまだですね。特に文法の細かいところ、話しているときは許されるというか気づかれませんが、文章だとすごく目立ちますね。まあ、いずれ上手になるでしょう。
ポイントは、第2言語を毎日、様々な場面で使うことです。繰り返しになりますが、本当に大切なポイントだと思います!
漢字の勉強方法について
漢字を勉強しないといけないと感じたのはつい最近のことでした。知るべき漢字は日常生活のなかで出くわしますし、手で書く必要のある漢字は住所ぐらいですから、読めればOKだと去年まで思っていました。それより、語彙力、敬語、文法、ビジネス日本語とコミュニケーション能力自体のほうが重要だと考えました。
しかし、将来の目標を達成するために漢字を手で書けなければならないので、最近私は人生初めて、日本語を割とちゃんと勉強しています。
勉強しているのは、日本漢字能力検定です。去年の秋頃から5級(小6学年レベル)から勉強し始めて、今は準2級を勉強しています。試験は受けていませんが、2級の勉強が終わったら受けてみようかなと考えています。
しかし、漢検の勉強だけでは少し足りないと感じましたので、最近は読書も頑張っています。普段見ない漢字や少し変わっている読み方が見えますし、漢検で勉強した漢字の復習(文章での使い方、四字熟語の使用コンテキストや勉強した漢字の他の二字熟語)にもなりますので、結構いい勉強になっています。
日常生活で不自由なくコミュニケーションができたら、読書と可能であれば執筆の練習がいいと思います。(例えば、記事を書いたりして・・・)
外国語を勉強している人への一言
私の経験から、最初の半年~1年は読み書きを最低限にして、リスニング能力とスピーキング能力に集中することをおすすめします。
できる範囲で、毎日第2言語を利用して、様々なところ(お家で、友達と、趣味で、他のことの勉強に、日常生活のなか)で使って、誤りを恥ずかしがらずにどんどんと使っていくことです。
ある程度会話ができるようになってから、リーディングを練習してみてください。手で文章を書く必要は大学入試など以外はほとんど不要なので、まずはコミュニケーション能力に専念しましょう。
しかし、みんなは自分に合っている勉強方法があり、様々な勉強方法を試して、自分にとっての最適な方法を選ぶことが大事です。苦労しているのに全然伸びていないのなら、多分その方法が自分に合っていないと思いますので、違うことをやってみる価値はありますね。
英語や他の外国語を勉強しようと思っている方、または勉強中の方、
自分の望む語学レベルに達成するように心からお祈りしています!