6月16日は和菓子の日!老舗和菓子屋の嘉定菓子を食べてみた
「和菓子部長」こと、インドネシア人のデキです。和菓子が好きすぎて今年4月京都に引っ越しました。インドネシアにいた時も、洋菓子より、屋台で売っている伝統菓子のほうが好きでした。緑豆のぜんざい、甘い蒸したもち米等、和菓子の製法に似てて馴染みやすいと感じました。例えば鹿児島県銘菓「かるかん」はインドネシアでまったく同じお菓子があります。異なる点は、インドネシアの伝統菓子はほとんどココナッツが入っており、砂糖も主にココナッツシュガーという茶色く独特な「Gula Jawa ジャワ砂糖」が欠かせない。日本で言うと和三盆ですかね。
そして6月16日は和菓子好きにとって、大事な日です。バレンタイン、ホワイトデーほどは知名度がないですが、実は6月16日は「和菓子の日」です。恐らく「なんで6月16日?」になると思いますが、それは当然の反応。私も初めて知ったときに同じ反応をしました。調べたら、全国和菓子協会が江戸時代に和菓子中心のイベント「嘉祥(又は嘉定)」を元に、6月16日に決めたらしい。なるほど納得、となりませんよね。かなりマニアックな理由だと思います。
いろいろな説ありますが、戦国時代が終わって、平和な時代に入り、江戸幕府のトップである徳川家康自身が初めたとも言われます。当時、輸入品の砂糖は貴重なため、主に公家や武家がこの日に厄除招福を願って菓子を食べていました。国産の砂糖が出回るようになり、庶民も嘉定菓子を含め和菓子を食べるようになりましたが、明治以降あまり行われず和菓子の日を忘れてしまったようです。
画像参照元:国立国会図書館デジタルコレクション
こちらの浮世絵は本などで和菓子の歴史を説明するときに必ず使われますが、個人的に面白いなと思っています。現代では、スイーツ好きは女性のイメージが強い一方、江戸時代では武士たちが集まってお菓子を一緒に食べたという、いわゆる「元祖スイーツ男子」ですね。「今年の羊羹は美味でござる。」武士同士の会話を想像するだけで楽しい。
今回、日本を代表する老舗和菓子屋「とらや」さんが予約制で販売している(6月14~16日受け取り可能)嘉定菓子7個セットを食べてみました。江戸時代の武士たちがどんな和菓子を食べたのか、興味深いですね。
求肥製 『浅路飴』(あさじあめ)
思ってたより柔らかくて、手で持つとぼよーんと伸びます。モッチモチ甘い求肥と胡麻というシンプルな組み合わせ、簡単に説明すると餡抜きの胡麻団子です。
餅製 『伊賀餅』(いがもち)
見た目的に一番目立っています、黄色い種みたいなものは色付けした糯米、東北銘菓「雲平」のように硬くて、白いお餅の中に白あん、見た目の割にオーソドックスな和菓子ですね。
白餡入、外良製 『桔梗餅』(ききょうもち)
通常外郎(ういろう)はそのまま食べるほうが多いですが、こちらは珍しくこし餡入り。外郎のモッチモチ食感と合わせて、大福に近い感じです。
御膳餡入、湿粉製 『源氏籬』(げんじませ)
こし餡に緑色の斜めの飴、デザイン的に面白い。村雨餡(そぼろ餡)は個人的に一番おいしい製法です。
押物製 『豊岡の里』(とよおかのさと)
触ると硬いですが、口に入れたらほろほろと溶け始めて、食感も楽しむ一品です。ほとんど和三盆ですからかなり強い甘さ、要注意、渋めの煎茶か抹茶がお勧めです。
飴餡入、焼物製 『味噌松風』(みそまつかぜ)
「松風」は本当に不思議な和菓子。同じ名前なのにクッキーのような薄く乾燥したもの、しっとりパンみたいなもの、波の形のような美術品、すべて「松風」と呼ばれます。定義はないですかね。共通点は材料に小麦粉と味噌が入ってる程度だと思います。今回は名前の通り、白みその風味が強く、しっとり甘じょっぱい一品です。
湿粉製 『武蔵野』(むさしの)
『豊岡の里』と同じく村雨餡ですが、黒色メインで渋いデザインですね。別の和菓子屋ですが、鶴屋吉信さんの「京観世」や俵屋吉富さんの「雲龍」と同じく、歴史が長い和菓子ですね。
以上、とらやさんの嘉定菓子でした。全体的に伝統的な和菓子がメインですから、懐かしい味がしますね。カラフルなスイーツが主流になった今日では渋めですが、レトロな感じがいいですね。皆さんもぜひ、6月16日をカレンダーで「和菓子の日」を設定いただいて、年に1日ぐらい、和菓子を思い出して、親しい方々と一緒に食べれてもらいたいなと思います。