どぶろくが好きだ
正直に言わせてもらうと、どぶろくの味は好まない。だが、どぶろくという物の存在は大好き。なぜなら、どぶろくは日本国内醸造酒の未来だと思っているからです。
なぜ清酒、ビール、ワインではなく、どぶろくは未来だと思っているかを話す前に、どぶろくについて語らせてもらいます。どぶろくと出会ったのは、2016年の『君の名は』を見たからです。実は、映画に出てくるお酒が口噛み酒という別のお酒の酒類だが、「Ancient Shrine Cloudy Sake」みたいなことをグーグルで検索し、このJapan-experience.comの記事とかTravelswithnano.comのブログポストのような記事が出てきました。それを読んで、僕が知らない「口噛み酒」は、聞いたことある「どぶろく」だと思いました。2年後にジャスティン・ポッツさんと知り合い、『Sake on Air』のポッドキャストを一緒に作り始め、間違いに気づきました。
どぶろくは、日本で大昔から作られているお酒ですが、1899年に酒税法によって禁止され、つい最近まではあまり見られなかったお酒です。韓国のマッコリみたいに基本的に濁っており、多少の泡があるお酒です。清酒(一般的に日本酒と呼んでいる)と一番大きいな違いは絞っているかどうかです。
1986〜1989年のどぶろく裁判によって、どぶろくに社会の関心が集まり、合法にする活動が広がります。その後、少しずつ完全禁止から法律が優しくなっていきましたが、現在でも一般家庭でどぶろくを造ることはまだ違法です。一番大きい変動は2002年の構造改革特区制度によるどぶろく特区の制定です。それ以降、特別に酒類の製造・販売を認められた区域が作られ、本格的に酒税法に反する形になりますが酒造でどぶろくが作れるようになりました。現在では129ヶ所がどぶろく特区として認定されています。
ということで、どぶろくの背景を説明させてもらったところだが、アメリカでの自家製ビールについても話さないといけないです。アメリカは世界一のクラフトビール市場です。量はもちろん、書類も どこよりも豊富です。いくつかの理由がありますが、1978年の自家酒造解禁連邦法からはじまり、2013年のアラバマ州とミシシッピ州の解禁州法を最後に、30年をかけアメリカ全国で非販売のための自家酒造は合法になったことによって、ビール作りに興味を持つ方が増えました。実験的にビールを作ったり、コンペに参加したり、上手にビールを作れる方の中で、自分のビールを広げるために小さなブルワリーを造る方も多くなっています。
2019年には、アメリカではクラフトブルワリーだけで、8,502カ所もあります。それに対して、日本では製造免許場が3,452カ所しかありません。そのなかで、約1,500カ所で清酒を作っています。1人あたりでみると、アメリカは3.9万人に1つのブルワリーがあるが、日本は8.4万人に1つの酒蔵しかないのです。そして、アメリカのブルワリー数が増加しているのに対して、日本の酒蔵は少なくなっています。
だが!どぶろく特区制度の普及によって、どぶろくを作ることが特別に合法になり、WAKAZEさん、にほんしゅほたるさん、木花之醸造所さんなどの新流酒造家が登場しています。アメリカの自家酒造者や日本のクラフトブルワリーの発泡酒酒造者(ビールより発泡酒の免許はとりやすいため、ビールを造る目的で、最初に発泡酒を造る方は少なくないようです。)と同じようにどぶろくを造っている人は手間が少ないルールで、新しいことを試しています。その新しいことに挑戦し、知識を貯め、次世代の日本酒メーカーになることを希望しています。
私は、日本の酒造免許制度が開放的になれば、どぶろくから作り始め、自家酒造家が増え、挑戦的に清酒を作っている酒蔵も増え、日本国内外で清酒のマーケットが大きくなると思います。どぶろくが清酒の未来であるため、どぶろくが好き。こめごめしい味をしても。
今回のお酒
木花之醸造所の「ハナグモリ 〜 THE 酸」というお酒を飲みました。僕がすきな酒店Caliquors Tokyoで偶然、木花之醸造所の責任者と出会い、一瓶をいただきました。大変美味しかったです。
どぶろくの3つのおすすめの飲み方を教えていただき、最初は透明になっている「上澄み」をそのまま冷酒と同じように飲み、真ん中の部分は濁りのような感じで、最後の濃いところを炭酸で割って飲むことをお薦めされました。