中国の闲鱼(シェンユー)に日本のメルカリ。日中のフリマアプリの比較とその特徴
現在、日中ともにフリマアプリの市場規模が拡大しています。両方の国のフリマアプリを利用したことがあるので、今回は中国出身の私が中国人ユーザー目線から比較してみたいと思います。
Table of Contents
フリマアプリの発展〜日中の比較〜
2013年、大手フリマアプリ「メルカリ」が立ち上がりました。経済産業省の発表によると、2018年のフリマアプリの市場規模はすでに6,392億円に達しており、20代女性の間では、およそ4人に1人がフリマアプリを利用したことがあるという結果になっています。
一方、中国では2012年10月にアリババが運営するフリマアプリ「淘宝二手(タオバオアーシォゥ)」が立ち上がり、2014年6月に「闲鱼(シェンユー)」に改名されました。 現在「闲鱼」 は 3 億人以上のユーザーを持ち、 毎年の出品数が10億点を超えています。
次は、実際にユーザー目線から両国のフリマアプリの違いを見てみましょう。
日本のフリマアプリの特徴
日本のフリマアプリではほぼ新品のものが安く売られていることが多く、基本的にすごく使いやすいアプリだと思います。しかし、購入手続き自体は簡単でスムーズですが、外国人ユーザーにとって戸惑いがちなのは購入前の出品者とのやりとりです。
・購入前のやりとり
購入する前に、出品者に商品情報の確認をとることができる「コメント機能」というものが存在していますが、そこには日本特有の文化があります。直接商品のことを聞くのは失礼だと思われる可能性が高く、コメント文の頭に「コメント失礼します」などの挨拶を入れる必要があります。
また、本文に関してもかなりレベルの高い敬語が使われているコメントをよく見かけるので、外国人の私は毎回Googleでコメントの例文を探してから投稿しています。
Googleで出るコメント例文:
「コメント失礼します。こちらの商品ですが、いつ頃ご購入されたか教えていただけますか?」
「こちらの商品に興味があるのですが、○○○円でお譲りいただくことはできますでしょうか。」
そして、購入後も取引画面で「商品を購入させていただきました。短い間ですが、よろしくお願いいたします。」という一文を送った方が礼儀正しいみたいです。Googleで検索結果がたくさん出ているというのは、実は日本人もコメントの書き方に悩んでいるということではないでしょうか。堅苦しい文章を好む日本のこの文化は、良くも悪くも独特です。
・梱包、発送方法
コメント文が丁寧であると同様に、日本人の梱包もかなり丁寧です。個人の出品者でもちゃんと防水対策などをこなし、人によってメッセージカードを一緒に送ってくる場合もあります。この点に関して、購入者としてはすごく嬉しく感じます。
現在、「メルカリポスト」などレジに並ばず、非対面で発送できる機器や発送専用ボックス販売コーナーを設置しているコンビニが多く、出品者にとっても発送の手続きが便利になっています。(ちなみに、中国で発送する際は集荷サービスを利用することが多いです。集荷料金は特に発生しません。)
中国のフリマアプリの特徴
では、中国の場合はどうでしょう。
中国で一番人気のあるフリマアプリは「闲鱼」と言います。他にも、「转转(ヂゥァンヂゥァン)」、「找靓机(ヂァォリィァンジ・スマホの転売)」、「58同城(58トォンチァン・中古住宅、中古車等)」などのアプリがありますが、私は使ったことがありません。
「闲鱼」の画面
中国のフリマアプリ(「闲鱼」の場合)の基本的な使い方は日本と似ています。たくさんのカテゴリーの中古品が売られており、また、商品代金もいったんアプリ運営者が預かり、購入者が商品を受け取った後に出品者へ代金が支払われるというシステムとなっています。
日本と異なる点というと、まず、「闲鱼」公式アカウントによる書籍、スマホ、衣類品の買取が行われており、買取額は高くないですが、不用品を処分できるというところは魅力的です。また、手数料を取らないというところも魅力的ですね。
もう一つ大きく日本と異なるのは、やはりコメントや取引メッセージの書き方です。
現代の中国語には日本語のような文法としての「敬語」が存在していないことも一つの原因になりますが、基本的に取引メッセージの書き方はラフです。余計な挨拶は必要でなく、日本人からしたら本当に友達感覚で喋っているように見えます。当然ながら、コメントを書く前に例文を探すことはありません。あまりにも態度が悪いとさすがに嫌われますが、商品のことをいきなり聞いたり、値引き交渉したりすることは全然問題ありません。即購入可能な商品に関しては、取引メッセージがなくてもスムーズに進められます。
中国のフリマアプリで使う用語/ネット流行語
中国のフリマアプリでは硬い言い回しが不要とはいえ、独特な用語を見かけることが多いかもしれません。これらの用語に関して、中国人の中でもネット用語に詳しくなければ、理解することができません。以下はその一部の例です。
「出〜」:〜を出品する
「拍〜」:〜を購入する
「可直拍」:即購入可能
「回血」:自分の経済状況を改善する
元々中国ではゲームでの体力(HP)を回復させることを「回血」(血の値の回復)と言い、ここでは経済状況のことをゲームの体力に例えている。
「回血出」:(新しいモノを買うため)自分の経済状況を改善するため、〜を出品します。
「可刀 / 不可刀 / 已自刀」:値引き可能 / 値引き不可 / 値引済
「退坑出〜」:〜に対する興味を失ったので、出品します。
「包邮」:送料込み
私の個人的な印象にはなりますが、5~10年前までは、中古品を買うのが恥ずかしいと思っている中国人が少なくありませんでした。ただ、近年では断捨離の風潮や、新しいものを買うために「回血*」が必要だと思っている若者の増加や、限定のグッズなどの流行により、フリマアプリが非常に人気となりました。皆さんもぜひ使ってみてください。