洋菓子でも和菓子
前回の記事では、私は外国人として、和菓子のカテゴリーを紹介しました。今回は、和菓子界の変化がいかに画期的なものであるかということを、事例を挙げてより具体的に説明したいと思います。京都の2つの有名店、歴史ある和菓子店「塩芳軒」とチョコレート専門店「ASSEMBLAGES KAKIMOTO」がコラボして作った画期的なスイーツ「ZEN」を例に挙げます。
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ZEN
このスイーツはとても複雑で、味を理解するためには何度か食べてみる必要があり、時間がかかりました。「ZEN」はバニラムースです。見た目はシンプルなので、驚かないかもしれません。真っ白な生地に抹茶のビスキュイとローストしたカリカリのアーモンドが飾られています。
コーヒームースとバニラクリームの相性が良く、ワインの風味が引き立つというのが大方の評価です。しかし、私にとってはこのムースにはもっと面白い要素があります。
例えば、おはぎを食べながら、コーヒーを飲む人を見たことがありますか?私は見たことがありませんが、このムースを試すとそんな感覚がして来ました。
食べてみると、中身は薄紫色のあんこクリームで、小豆の豆も入っています。その味覚の旅は、あんこの甘さだけでは終わっていません。中に入っている柔らかいお餅は、まさかこんな食材が入っているなんてと驚きました。
このスイーツには様々な要素がありますが、その一つひとつがよく考えられており、よく練られています。余計な味がしていません。
ASSEMBLAGES KAKIMOTO
2013年の世界チョコレート選手権で4位に入賞した実力派シェフ、垣本晃宏さんが立ち上げたお店です。複数の素材と技術を組み合わせて味を昇華させるアッサンブラージュスイーツが絶品です。種類がいくつかあります。
ASSEMBLAGE KAKIMOTO – Assemblages A
垣本晃宏さんは、「ZEN」の創作について取材を受けた際、この菓子を「ややこしい組み合わせ」だと謙虚にいいました。それは、このスイーツに持ち込まれたさまざまな要素を考えると、部分的には正しいのだと思います。しかし、食べてみると、京都のミニチュアのような、伝統的な日本の良さが凝縮された作品です。
御菓子司 塩芳軒(しおよしけん)
塩芳軒は、京都で有名な和菓子屋さんです。1882年創業の老舗で、菓匠会会員店です。あんこや砂糖などのシンプルな素材から香りと味を引き出し、比類なき技を披露する生菓子は、食べないといけません。京都で和菓子について調べ始めたころは、技術の複雑さも、生菓子の純粋なあんこの味わいも、よくわからなかったです。しかし、そんな私が初めて生菓子を食べたとき、興味を持ったお店のひとつが「塩芳軒」でした。同じ材料で、異なる食感を楽しませてもらいました。だから、垣本さんがこの店を選んだのもよくわかります。恐らく、あんこの素朴な味を必要としているのです。
本題に戻りますが、私が日本の革命的なスイーツを語るとき、なぜこのムースが最初に出てくるのか、その理由が2つあります。
まず、「ZEN」の意義は、素材の選び方、組み合わせ方にあります。一般的に、洋菓子にあんこが入っていることは、珍しいと思います。最近の和菓子では、生どら焼きのように生クリームやバターを加えて現代的な味にすることもあります。しかし、この「ZEN」は、日本の食材を西洋の技術で新しい個性的なスイーツに仕上げることに成功したものです。
御菓子司 塩芳軒 - 季節生菓子
二つ目は複雑な味をわかりやすく紹介するのも「ZEN」の得意とするところです。例えば、お酒が飲めない私でも、アルコールがムースに深みを与えていることに感謝しています。アルコールの香りが強いと、甘いものとの間に挟まれることが多いんですが、この商品はアルコールの香りがほんのりとしており、普通のあんこに何層もの深みを加えています。
つまり、「ZEN」は私のお気に入りのお菓子の一つであり、私の食の旅におけるマイルストーンとなりました。日本の2つの奥深い店の最高の仕事をこの一皿で体験することができました。
店舗情報
御菓子司 塩芳軒
住所:京都府京都市上京区黒門通中立売上ル飛騨殿町180
営業時間:9:00~17:30
定休日:日曜・祝日・月1回水曜日(不定休)
アクセス:京都御所から徒歩11分
公式サイト
ASSEMBLAGES KAKIMOTO
住所:京都市中京区竹屋町通寺町西入る松本町587-5
営業時間:12:00~19:00
アクセス:京都御所から徒歩6分
公式サイト