益子町でぶらりと過ごす週末の旅
東京に住む数年間、益子という地名は遠い存在でしたが、1年半前から陶芸に対して興味を持つことになった時に、毎年開催される益子陶器市の情報を知り、また東京からバスを乗って2時間強で行けるので、益子に訪れることを決めました。今回は陶器市が行われている間ではなく、普段の益子町の風景を届けていきたいです。
Table of Contents
東京から益子へ
金曜日の夕方に仕事を終え、東京の秋葉原駅から笠間・益子行きの高速バス(関東やきものライナー)に乗り、スカイツリーと隅田川の夜景を見ながら夜の益子町に向かいます。
夜7時過ぎに益子の真ん中にある陶芸メッセ入口に降りました。夜になると人の気配が少なく、星がとても綺麗ですが、益子の共販センターの前にあるタヌキ像「ポンタ君」の夜の姿はどう見ても妙な雰囲気です。
静かな街中にお宿へ歩いている間に空を見ると、澄んだ夜空の星が私を待つように輝いて、益子への思い出が夜から始まります。
益子のお宿
今回のお宿は、丘の上にある「益子ゲストハウス nobori」です。お宿は製陶所の敷地内にあり、宿泊棟の建物自体もかつて使われた登り窯を改装した空間なので、遊び心がありながら、現代の設備が揃えられた綺麗な部屋です。お部屋の中にWi-fiと冷暖房が揃い、共用のキッチン、バスルームとランドリーもあります。
ここに泊まったら、製陶所で作られた益子焼の食器も自由に使えます!ちなみに、オーナーの川尻さんはよく果物をここに置いていて、ゲストの皆さんがお宿に帰った際に、おやつとして小腹を満たすことができます。とてもありがたいです。
同じ敷地内の建物には、オーナーの川尻さんの製陶所とショップもあります。現在、作陶のお仕事は息子さんに受け継がれ、ここの作品は登り窯で焼成されたので、一つ一つの作品が色んな表情を持っていて、何回見ても楽しめます。
益子の朝
土曜日の朝はパンで始めたいです。お宿から徒歩わずか3分で、森のコテージのように見えるパン屋「Natural Bakery 日々舎」が佇みます。緑に囲まれて、焼きたてのパンとベーグルの香りに包まれることができて朝から良い気分です。
ハード系パンを持ち帰りをして、ゲストハウスの益子焼に載せたら朝ご飯が始まります。テラスに座り、朝の空気をたっぷり感じられます。
お宿の中で益子に詳しい方から情報をいただいたので、近くの森を散歩すると、アーティストによる陶片の作品を見つけました。
益子のお昼
益子町のランチには色々な選択肢がありますが、土曜日はパスタの気分なので、坂の上にある不思議な形の建物を持つ「キッチン・スロープ」に向かうことになりました。
先ほどと同じ方から情報をもらったので、キッチン・スロープの席を待つ間に、近隣のアトリエにお邪魔しました。小さな坂道を通り抜けると、造形家KINTAさんの工房「KINTA STUDIO」があります。手前の小ぶりな建物はギャラリーの併設ショップで、そこで見学ができます。KINTAさん本人がいらっしゃったら、たくさんのお話も聞けます〜
主に木、鉄、土を素材として使い、テーブル、椅子、扉と絵などのオブジェを制作し続けるKINTAさんは、学生時代から木の彫刻に興味を持つようになったようです。様々な拠点で制作を終え、益子でアトリエを作ってからもう20数年が経ちました。
「私の遊び心が仕事になっているよ」とKINTAさんが語り、お昼の日差しが眩しく、とても元気な言葉をもらえました。
お店から電話をもらったので、キッチン・スロープに戻り、美味しいパスタとコーヒーをいただきました。益子町の中でもとても人気なレストランなので、週末に訪れると順番待ちになるかもしれません。
お昼頃の猫ちゃん
益子町には、陶芸関連のお店とギャラリーが立ち並ぶほかに、骨董品を販売するお店と家具屋も多数あります。写真は仁平古家具店の益子店です。
益子の夕方
坂の下にある「pejite(ペジテ)」という広々としたお店は、かつて石蔵の建物をリノベーションをした空間です。日本のヴィンテージ家具を取り揃え、また益子を中心とした作家の器、洋服も販売しています。お店の中には開放感があり、ヴィンテージ感とインテリアの配置も絶妙におしゃれなので、お買い物と散策の寄り道としてもおすすめです。
少し時間が余ったので、Googleマップで調べてみると「古道具 時余利」というお店を見つけました。大きな道路側からみると、普通の一軒家しか見えなかったですが、庭越しで中を覗いてみると、器が多く置いてあるので、お店に入ることを決めました。
平屋の中に明治と大正時代の道具、オブジェが多く置かれ、さらに幅広い年代の器なども陳列しています。ついつい夢中になって、時間をかけて隅々まで見ていました。実は、この古道具屋のオーナーはpejiteの元店長で、益子のpejiteで6年間勤めた後に独立し、古道具屋をオープンすることを決めました。
その日の空色はとても暖かくて、街の真ん中から少し歩くと、里山風景の益子も存分に感じられます。
益子の夜
午後6時頃にほどんとのお店とギャラリーが閉まるので、夕方の時間を使って益子のメイン通り「城内坂」のギャラリーを回るのがおすすめです。ちょうどその日は、益子の地域づくりの祭り「土祭」の最終日なので、少しイベントもやっていました。
また運良く、地元と参加者の協力で、土祭一環として作られた土窯があり、近くで窯焚きを見ることができました。実は、窯焚きを始めると3日間火を絶やさずに、薪をくべ続けて行く必要があるので、地元の皆様が交代制で見守りを続けます。
初めての益子旅は、少し変わっている雲に囲まれながら終わりを迎えました。今回は益子でぶらりとした旅行の風景をお届けしました。
次回の記事は、益子町での細やかな発見と益子の人々との出会いについて書いてみたいと思います。
今回の寄り道スポット
Natural Bakery 日々舎
住所:栃木県芳賀郡益子町益子4283-5(益古時計敷地内)
時間:火〜土曜日11:00〜17:00
キッチン・スロープ
住所:栃木県芳賀郡益子町上大羽2217
時間:11:00〜17:00(不定休)
pejite(ペジテ)
住所:栃木県芳賀郡益子町益子973-6
時間:11:00〜18:00(木曜日定休)
古道具 時余利
住所:栃木県芳賀郡益子町益子2759
時間:13:00〜18:00(土日は11:00〜)
益子ゲストハウス nobori(川尻製陶所)
住所:栃木県芳賀郡益子町益子4327
費用:3500円程度/一泊